今日は松本清張の文庫本シリーズ。


電車の中で読むのにちょうどいいんだよネ。





こちらには「与えられた生」「虚線の下絵」「通過する客」


「首相官邸」の4編が収められています。


この短編集には男と女のドロドロしたものを描いている作品が多く、


清張にしては珍しいなぁ、という感じです。


前半の2つをピックアップしてご紹介します。





「与えられた生」は、ガンを患った画家が主人公。


2度の手術によって何とか生きながらえることができた主人公は、


その与えられた生を一人の若い女性のために費やすことに。


命さえ助かればいいと切に願い、叶って生き抜くことが出来たのに、


生を与えられたときから、それは女性への苦悶へ・・・。


人間って欲が深いですよね。


ある願いが1つ叶うと、もっともっと!ってまた別の願いが現れる。


でもだから人生面白いんだろうけど・・・。


男の浅はかさと女の狡さを巧みに描いた作品でした。






「虚線の下絵」は売れない肖像画家が主人公。


そんな夫を支える妻は、元保険外交員だった経験を生かして、


夫のために肖像画の注文を取るために奔走するのですが、


しかし妻がより美しく妖艶な女性になっていく様子をみて、


オンナの武器を使って注文を取っているのでは?と夫は苦悩します。


なんかこれは旦那さんが卑屈過ぎてイヤだった・・・。


でも自分が売れない画家であることを卑下したり、


妻がどんどん綺麗になっていくことを邪推したり、


有名になっていく親友の画家を妬んだり、


なんてひねくれた性格なんだろう!って感じてしまいました。


奥さんがどうやって注文を取ってきたのか、


本当のところはどうだかわからないけど、


でも旦那さんを信じて頑張ってるのになんか可哀相~






何はともあれ、清張の作品を読むと、


その観察力も然ることながら事実を鋭く斬る表現力に脱帽します。


そして人間の本質を見抜いて、鋭く描く作風は、


今注目されているミステリー作家にも


実は大きな影響を与えているのではないのかしらん、


と密かに感じるあなでした。


あなにとっては永遠のベストセラー作家かもね。