ベターハーフという言葉を聴いたことがありますか?


人はこの世に生れ落ちる前は1つの球であり、


それが2つに分かれて男と女が誕生したとする


ギリシアの哲学者プラトンの思想です。


だから男も女も自分の片割れを探して求め合い、運命により結ばれる、


というめっちゃプラトニックな思想ですね。





これはそんなベターハーフとは程遠い(笑)結婚生活を描いています。


唯川恵の作品は現実味に溢れているものが多い。


普段なにげなく過ごしている日常の生活をやけにリアルに描いていて、


どうも他人事のようには読み進めることが出来なくなってしまう。


結婚、不倫、出産、バブル崩壊、リストラ、親の痴呆、介護・・・


不景気の時代を背景にストーリーは淡々と展開します。





夫婦という形だからこそ、別れないという選択。


なんで結婚したんだろう?そんな疑問を抱きつつ、


お互いに失望し、憎しみ合いながらも一緒に生きていく。


男でもなく女でもなく、共に老いていくということ。


全体的に暗ーく憂鬱な雰囲気が漂うのに、


ふとした言葉やしぐさに思わず泣けてしまいます。


そう、はじめからベターハーフな存在なんて本当はいないのかも。


でも、2人を重ね合わせたときに出来る隙間や違和感は埋めていける。


結婚ってそういう「埋めていくこと」の繰り返しなのかな、


そんなことを想いました。





I will be the better half of you.


何年も何十年も経って、お互いおじいちゃんとおばあちゃんになった時に


「あぁこの人と一緒にいてよかった~」ってお茶を啜りながら笑い合える


そんな相手に巡り合いたいと思う。


誰と結婚したとしても、何か違う、こんなはずじゃなかった、


って不満を言いたくなる時はきっとあると思うんだよね。


でも「この人は私の半分の形の人じゃない」って落胆するんじゃなくて、


「所詮ベターなんだから仕方ないか」って笑えるようになりたい。


ベターハーフが最上級じゃないこともなんとなく納得(笑。


そんな結婚についてちょっと考えてしまった作品でした。





というわけで、たまには食ネタ以外もね~っ♪