「白夜行」の続編ということで読んでみたんだけど・・・


私は「白夜行」のほうが好きかな。


続編として読むにしては、あまりにも冷酷すぎる作品。


「幻夜」はなんだか不気味さが際立ってしまい、


どこに行きつこうとしているの?それがあなたの求める幸せなの?


って思わず問いかけたくなってしまう。





物語は、阪神大地震の朝に出会った雄也と美冬を軸に展開する。


完璧な美貌を纏う美冬。闇に隠された過去。


そして美冬を心から愛し、自らを投げ打って彼女を守る雄也。


その構成は「白夜行」にとても似ている。





だけど「白夜行」の雪穂には


どうしようもない寂寥感と切迫感があった。


永遠の闇を背負っていながら、


本当の光と愛を欲している切実な哀愁が漂っていた。





「白夜行」にあって「幻夜」にないもの。


それは・・・人間らしい真摯な思い、かな。





美冬は完璧な美しさを求め、さらに人間らしさを失くしていく。


つか、いつから「美」に対してそんなに執着しはじめたんだろう?


って感じる。その様相はえらい不気味。


「白夜行」のときにメッセージとして感じた


何としても生きぬこうとする必死な姿が胸に沁みてきたり、


大切なものを守ろうとする切実さみたいなものが伝わってこない。


だって、美冬の行動が何のためなのかわからないんだもん。


彼女にとって幸せってなに?


地位?名声?男を自由に操り意のままに動かすこと?


美に対する究極の追求は一体何のため?


過去に縛られ、旦那にも不気味がられ、誰に心を許すでもなく、


秘密を抱えて生涯暮らしていく。


そんな終わりのない美冬の生き様はなんだかとっても可哀相。


このままじゃ後味悪いので、


更なる続々編が欲しくなってしまう(思う壺?




もし続々編を書いてくれるのならば、


「幻夜」に欠けているものを埋め合わせて、


なおかつさらに深みあるガツンと衝撃が走るような作品が読みたい!


(まぁ読者の勝手な期待だけどねー)